雨のち晴れ、ぶどう畑に忍び寄る “べと病(ミルドゥー)”

2025年

Bonjour!マコマコです。

本日、5月29日(木)、フランスは 5月中の3つ目の祝日 昇天祭(L’Ascension)です。

この日は、イエス・キリストが復活から40日後に天に昇ったことを記念する、キリスト教の大切な日。
毎年木曜日にあたるため、翌日の金曜日も休みにして4連休(=Le Pont/橋をかける)にする人が多く、いつもと違って ここ Charnay は静かです。

…が!

そんな中、ぶどう畑ではちょっとした 緊急事態 が発生。

気持ちの良い青空の晴れ・・・からの

雨が降って、晴れて、また雨で…という天気が続いたせいか、

ついに見つけてしまいました。

あっ、出てる…!ぶどうの葉に忍び寄る“べと病(ミルドゥー)”

「ミルドゥー、出てる」と同僚の一言。
え、…?と 葉を見ると、いました、いました。


🦠べと病(Mildiou)ってどんな病気?

べと病(フランス語では Mildiou/ミルドゥー)は、ブドウにとってとても厄介な病気です。
正式には Plasmopara viticola という卵菌によって引き起こされ、特に湿度が高くて暖かい時期に発生しやすくなります。

日本語の「べと病」は、葉に“べっとり”と油染みのような黄色い斑点が出ることから来ているそうです。

そして「ミルドゥー」という呼び名は、英語の“mildew”(カビ)が語源で、湿気で発生する病気のことを指します。
つまり、名前からして湿気大好きな病気ということですね。

雨が降ると カタツムリも たくさん出てきます。

ブドウの樹になるべく湿気をためないよう  Bourgeon・ブルジョン(芽かき)が大切です。
だいぶ上達しました💪(左)芽かき前 (右)芽かき後


🍃 見つけるポイントは“葉の裏”!

葉の表に出てくる黄色っぽいシミ。これが初期症状なのですが…

🔍実は、本当に要注意なのは“葉の裏”

裏側に白いカビのようなもの(胞子)がふわっと出ていたら、それはまさにべと病のサイン。
表だけ見て安心していると、気づいたときには広がっている…なんてことも。
だから畑では、「葉の裏を見て判断するのが基本」です。

べと病のブドウ葉の裏


☀️放っておくとどうなるの?

べと病が進行すると、葉が傷んでしまい、光合成がうまくできなくなります

葉はぶどうの栄養を作る工場。
そこがダメになると、果実の成長や糖度、つまり味や質にまで影響が出てしまいます

さらに症状が進むと、果実そのものにも感染し、しぼんで落ちてしまうことも。
収穫どころか、収入にも直結する、農家にとってはまさに悪夢のような病気なのです…。

9月の収穫時、べと病のブドウを一緒に混ぜて醸造してしまうと悪いアロマの原因に直結します。


🧪ワイナリーの対策:硫黄銅のスプレー散布

まずは 秘技 手でトール です。
大きく広がっていなければ、べと病の葉を Bourgeon(ブルジョン)、Moûcher(ムーシェ)、Relevage(ルルヴァージュ)作業の合間に取っていきます。

大きく広がっている場合、私の働くワイナリーでは、発症を確認したタイミングで硫黄銅(bouillie bordelaise/ボルドー液)を使ったスプレ散布を行っています。

スマホの翻訳機が大活躍!助かってます。

これは、有機栽培でも認められている防除手段のひとつで、長く使われてきた定番の方法。


ただし、これも万能ではなく…

銅は分解されにくく、土壌に蓄積されるリスクがあります。

だからこそ、散布は「ここぞというタイミング」で行うことが大切。
自然とのバランスを見ながら、病気を防ぐための“知恵と経験”がものを言います。


👀 観察はつづく…

日々、葉の状態をチェックしながら、「この畑は大丈夫そう」「あれ、怪しいかも」とブドウと対話するように過ごしています。

ブドウの花も咲き、開花から収穫までは約100日
ということは、ちょうど今から夏の終わりが収穫シーズン…?

自然とのかけひきと、ブドウとの対話。
それがこの季節の醍醐味かもしれません。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。
また次回もお楽しみに♬

À bientôt✋

📝マコマコ