Vendangesもクライマックス |Saint-VéranとPouilly-Fuisséで感じるテロワール

フランス生活

Bonjour!マコマコです。
9月に入り、Vendanges(ヴァンダンジュ=ブドウ収穫)もいよいよクライマックスを迎えています。3日間続けての収穫作業のあと、今日は雨でお休み。記事を書いています。
Domaineの近くの畑は収穫が終わり、次は少し離れた畑へと足を伸ばしていきます。

早くブドウの収穫を終えると、他のメンバーの様子が見れます。
どこのサポートに行こうかな・・・。


🍇 特別チームで向かった Vergisson の Pouilly-Fuissé

特別チームに任命されました。
Pouilly-Fuissé(プイィ=フュイッセ) の畑がある Vergisson(ヴェルジソン)へ。Mâconnais(マコネ)地区の中でも象徴的なテロワールの場所です。

Terroir(テロワール)とは?
ワインの世界でよく使われるフランス語で、直訳すると「土地」。でも意味はもっと広く、その土地の 土壌・気候・地形・日照・風向き、そして人の営み までも含めた要素のことを指します。
同じシャルドネでも、畑ごとに味わいが変わるのは、この「テロワール」の違いによるもの。フランスワインを理解するうえで欠かせない考え方です。

Vergisson は切り立った石灰岩の丘が連なる、Mâconnaisの中でも特に美しい景観を誇る村です。
今回収穫した区画はわずか11列の小さな畑。そこに Big Boss の Jeanがトラクターで、Porteurs(ポルター・ブドウの運搬役)が1人、Coupeurs(クーペ・収穫者)が9人という少数精鋭のチームで臨みました。

他のメンバーは Gamay(ガメイ)の収穫にまわっていたので、私は残念ながら今年は黒ブドウには触れられませんでしたが、この特別チームに加えてもらえたことは光栄でした。
今年のGamayたち。色づきは良い感じです!

昨年の Gamayの収穫の記事は→ こちら

Pouilly-Fuissé は 2020 年から 1er Cru(プルミエ・クリュ)が導入され、Mâconnais地区のトップに位置づけられる白ワイン。熟した果実、蜂蜜やナッツのニュアンス、長期熟成にも耐えうる複雑さを備えています。Vergisson の土壌は石灰質が豊富で、キリッとしたミネラル感が特徴。まさに「特別」な区画での収穫でした。

1er Cru(プルミエ・クリュ)とは?
ブルゴーニュ地方などで使われる格付けの呼び方で、「第一級畑」という意味。村名AOCよりもさらに細かく区切られた特別な畑が対象になります。これにより、より細やかに「畑ごとの個性=テロワール」を表現できるようになったそうです。


🍷 Saint-Véran の畑も紹介

Domaineでは、Pouilly-Fuissé に加えて Saint-Véran(サン=ヴェラン) もつくっています。畑は Davayé(ダヴァイエ)Prissé(プリセ)にあり、こちらも眺めが素晴らしい場所です。

Saint-Véran は 1971 年に AOC 認定された比較的新しいアペラシオン。Pouilly-Fuisséに隣接しながら、価格は比較的手頃。フレッシュで柑橘系や白い花の香りを持ち、親しみやすい味わいが魅力です。Saint-Véranは和食にも良くあうと思っています。


📉 今年の収穫状況:量は減っても質は◎

残念ながら今年の収穫量は大きく減少。

・Pouilly-Fuissé:昨年は樽が5つできたのに、今年はわずか1樽。

・Saint-Véran:小粒のブドウが多く、量は昨年の半分ほど。ただし「質は非常に良い」との評価。

天候の影響で収穫量が目に見えて減ったのは厳しい現実ですが、そのぶん凝縮感あるワインが期待できそうです。

他の畑で最もMildiou(ミルデュー|べと病)の影響があったところはブドウの実が成っていませんでした。見ると、とても悲しかったです😢


🍇 ちょっと面白い話:家の前の畑の黒ブドウ

家の前の畑を収穫していたとき、白ワイン用の区画に黒ブドウが混ざっていました。理由を聞くと「昔、この地で赤ワインも造っていると PR したくて植えたんだよ」とBig BossのJeanが笑いながら話してくれました。もちろんワインづくりには混ぜません。


🌍 Vitis vinifera と食用ブドウの違い

ここで少しブドウの話を。

ブドウは大きく分けて Vitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)Vitis labrusca(ヴィティス・ラブルスカ) の2大グループがあります。

Vitis vinifera:ヨーロッパ原産で、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネなどワイン用ブドウのほとんどが属します。世界には約 10,000 品種あるとされ、フランスでは約 249 品種が認可されています。ただし、実際の生産の 3/4 はわずか 12 品種に集中しています。

Vitis labrusca:アメリカ原産。代表品種はコンコード、デラウェア、ナイアガラ、キャンベル・アーリーなど。独特の「フォックス臭」と呼ばれる香りがあり、生食やジュース用に向いています。

食用🍇とワイン用🍷の違い
ワイン用のブドウは、厚い果皮に色素やアロマ成分を多く含み、赤ワインには熟成に欠かせないタンニンを持つ種が必要です。逆に食用ブドウは、薄い果皮で種が少なく、ジューシーさが求められます。つまり、「かじって美味しいブドウ」と「ワインにすると美味しいブドウ」では、求められる性質がまったく異なります。


🚜 Vendanges 最終日へ

最後の畑は機械収穫の予定でしたが、急遽ハンドピッキングに変更となりました。
機械での収穫は、ブドウの実を潰してしまったり、ブドウの樹を痛めてしまうリスクがあるのであまりやりたくないそうです。

今日は雨ですが、明日は天気も良く、9月2日が最後の収穫日になりそうです。昨年は、9月24日にVendangesが終わったので大きな違いですね。

今年のPouilly-Fuisséは量が少なかったので、昔、使っていたプレス機でブドウを搾っていました。愛犬のJinも駆けつけてくれました🐾

収穫期は天候や自然の影響を強く受け、毎年同じではありません。今年は量こそ少ないものの、ブドウの質は良いそうです。来年、そしてその先にどんなVintage(ヴィンテージ/ブドウが収穫された年を表す言葉)が待っているのか、楽しみにしつつ最後の1日を頑張りたいと思います。

最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。
また次回もお楽しみに♪

À bientôt✋

📝マコマコ