Bonjour!マコマコです☀️
先週に続き、フランス滞在者向けの市民研修「Formation Civique(フォルマシオン・シヴィック)」の2日目に参加してきました。
1日目の様子はこちら👇
👉 Formation Civique 1日目|フランス社会と共和国の価値観を学ぶ日
今回のテーマはなんと…
「フランスの歴史と政治制度」!
今回の記事もボリューム満点、自身の復習がてら書いていきたいと思います。
| Jour | 日付 | 午前 | 午後 |
| 2日目 | 10月17日 | Histoire de France(フランスの歴史) | Système institutionnel et politique(政治・制度の仕組み) |
| 3日目 | 10月24日 | Droits et devoirs(権利と義務) | Géographie et culture française(地理と文化) |
| 4日目 | 10月31日 | Approfondissement des notions abordées(これまでの内容を深める) | 試験(合格必須!) |
🚆 朝の小さな旅と Chalon-sur-Saône の霧
今回は、08時04分の電車で Mâcon を出発。前回の真っ暗な早朝とは違い、白み始めた空の下、自転車で駅へ向かう道も少し余裕がありました。

Chalon-sur-Saône 駅に到着すると、まずびっくりしたのがソーヌ川に立ち込める深い霧。
そしてもう一つの驚きは、今回は違うルートを取って研修会場へ向かったのですが、裏通りには紅葉が🍁

朝から秋のご褒美をもらった気分になりました。
💬 通訳さんの優しさと多言語チーム
研修会場に着くと、今回は新しい通訳さん。
イタリア系の方で、イタリア語に加え、フランス語・英語・スペイン語も堪能のマルチリンガル!しかも日本が大好きで、名刺を渡しながら「困ったらいつでも」と言ってくれる優しさ。
さらにインターン通訳さんも加わり、資料のパワーポイントも見やすく配置。プロのチームワークを感じました。
🎲 アイスブレイクは「Wooclap」!
最初は軽いウォーミングアップ。
スマホで Wooclap というアプリにアクセスして、今の気持ちを一番表すキャラクターを選ぶというゲーム。

ある参加者は「紫の服のキャラ」を選んで理由を聞かれると、
「だって私のニックネームが Violette(ヴィオレット)だから!」と回答。
その日一日、彼女はずっと「Violette」と呼ばれていました(笑)
🗺 フランスの歴史を一気におさらい!
午前のテーマは Histoire de France(フランスの歴史)。
先生からまずは一言アドバイス「全部覚える必要はありません。でも、“なぜフランスが共和国になったのか”を理解することが大事です。」
この言葉に、みんな大きくうなずいていました。
ここからは、パワーポイントと配布資料を使っての“世界史授業モード”へ。
なんと今日は特別にパワーポイント資料の提供が!
どうやら文字が小さいので、スマホでの記録が許されました。

資料はこんな感じです。確かに小さっ(*゚Д゚)

🏰 L’Ancien Régime(アンシャン・レジーム)と王の時代
革命前のフランスには5つの王朝がありました。
Clovis(クロヴィス朝)から始まり、Carolingiens(カロリング朝)、Capétiens(カペー朝)、Valois(ヴァロワ朝)、Bourbons(ブルボン朝)へと続きます。
その中でも有名なのが、ブルボン朝時代の在位1643年~1715年、Louis XIV(ルイ14世)です。「Le Roi Soleil(太陽王)」と呼ばれ、あの Château de Versailles(ヴェルサイユ宮殿)を築いた王として知られます。
※ Monarchie absolue(絶対王政)
「王様の力がすべて!」という政治のしくみ。法律を作るのも、税金を決めるのも、戦争を始めるのも、すべて国王の一存で行われていました。フランスではルイ14世がその代表で、「L’État, c’est moi(朕は国家なり)」という名言が有名です。この時代、国王の権力は絶大で、国民にはほとんど政治に関わる権利がありませんでした。
ちなみに、1924年創業の日本のお菓子メーカー「ブルボン」社名の由来は フランスの“洗練・高級感・洋菓子のイメージ”を表現するためだそうです。
⚔️ フランス革命と共和国の誕生
📅 1789年7月14日 バスティーユ牢獄襲撃で革命が始まり、
📜 人間と市民の権利として「人権宣言(DDHC:Déclaration des Droits de l’Homme et du Citoyen)」が採択されました。
その後、ルイ16世が処刑され、王政は廃止。
フランスは「第一共和制」へと生まれ変わります。
💥フランス革命は突然起きたわけではなく、長年の「不公平・貧困・怒り」が限界突破した末に起きた大爆発でした。
当時のフランスは 聖職者と貴族はほぼ無税なのに、国民の98%を占める市民や農民が国の税をほぼ全負担 という超ハードモード。さらに王室は毎晩パーティーの贅沢三昧、アメリカ独立支援で 国の財政は破綻寸前、追い打ちをかけるように パンの価格が高騰して庶民は生活すらできない状態 に…
そしてついに1789年7月14日、パリの民衆がバスティーユ牢獄を襲撃。これがフランス革命の幕開けとなりました。
1792年には王政が廃止され、翌1793年、ルイ16世とその妻マリー・アントワネットは処刑。フランス史はついに「王の時代」から「国民の時代」へと変わっていきます。
| 年月日 | 出来事 |
| 1789年7月14日 | バスティーユ牢獄襲撃(革命の始まり) |
| 1789年8月26日 | 「人権宣言(DDHC)」の採択 |
| 1791年9月3日 | 立憲王政憲法制定 |
| 1792年9月21日 | 王政廃止、第一共和政成立 |
| 1793年1月21日 | ルイ16世処刑(ギロチン) |
| 1794年7月28日 | ロベス・ピエール処刑、恐怖政治終結 |
| 1799年11月9日 | ナポレオンのクーデター(ブリュメール18日)で統領政府発足 |
| 1804年5月18日 | ナポレオンが皇帝に即位(第一帝政) |
👑 Napoléon Bonaparte(ナポレオン)の登場と失脚
フランス革命で王様を倒したあと、フランスは「自由を手に入れたものの国はボロボロ」状態。
貧困・内戦・外国からの侵略で統率者を失った国は混乱の極みでした。
そんな時、戦争で勝利を重ね「国を守れる英雄」として登場したのが Napoléon Bonaparte(ナポレオン)です。
ナポレオンは1799年のクーデターで政権を握り、1804年には皇帝に即位。近代フランスの基礎を作る「ナポレオン法典」を制定し、強い中央集権国家を作りました。
しかし1815年、ワーテルローの戦いで敗れ南体制のセントヘレナ島へ流刑となり、帝政の時代は終わりを迎えます。
🔁 La Restauration et la Monarchie de Juillet(復古王政と七月王政)
1815年にナポレオンが失脚すると、ヨーロッパ諸国は王政復活を望みブルボン王朝が復権。しかし「王の権力を強めたい王室」と「自由と平等を守りたい国民」の溝は埋まらず、「七月革命」、さらに「二月革命」へと発展。こうして王政は完全に終わりを迎え、フランスは再び共和制へと進みました。
1830年、フランス市民はこう思いました。
「この王様じゃダメだ。」そうして起こったのが七月革命。
シャルル10世は退位し、新たにルイ=フィリップが王に。
まだフランスに“王様”はいたけれど、今度は市民寄りの王のはず・・・。
しかし18年後──
1848年、ついに国民の怒りゲージが限界突破🔥
「もはや王様っていう、システムごといらなくない?」これが二月革命。
ルイ=フィリップも退位し、フランスはついに共和制(王がいない国)へ!
ここからフランスは新しい時代へと進みます。
まさに「自由・平等・博愛」の道は、一度ではなく数度の革命で切り開かれたのでした✨
その後、選挙で大統領となったナポレオン1世の甥ルイ=ナポレオンが台頭し、のちに皇帝ナポレオン3世として第二帝政を築き、社会インフラやパリ改造を進めました。
🕰 Les Républiques françaises(フランスの各共和制)
| 時代 | フランス語表記 | 期間 | 主な出来事 |
| 第二共和制 | La Deuxième République | 1848年2月24日~1851年12月2日 | 王政を打倒、初の男性普通選挙 |
| 第二帝政 | Le Second Empire | 1852年12月2日~1870年9月4日 | ナポレオン3世が即位、パリ大改造 |
| 第三共和制 | La Troisième République | 1870年9月4日~1940年7月10日 | 教会と国家の分離法(1905)制定 |
| ヴィシー政権 | Le Régime de Vichy | 1940年7月10日~1944年8月22日 | ナチス協力政権(ペタン元帥) |
| 第四共和制 | La Quatrième République | 1946年10月27日~1958年10月4日 | 女性参政権・社会保障制度の確立 |
| 第五共和制 | La Cinquième République | 1958年10月4日~現在 | ド・ゴールが新憲法制定、現体制に |
フランス革命については、歴史を面白く学ぶ COTEN RADIO が分りやすく解説しています。
⚔️ 大戦と復興、そして新しいフランスへ
20世紀のフランスは、2度の世界大戦に巻き込まれ、多くの犠牲を出しました。
● 第一次世界大戦(1914–1918)約1,000万人が犠牲に
戦争のきっかけとなったのは、Point de départ : l’assassinat de l’archiduc François-Ferdinand(オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子暗殺)。
これが「1発の銃弾」と言われるほど、世界を戦争へ引きずり込む引き金となりました。
実は、暗殺だけが理由じゃないんです。
当時のヨーロッパは…
・各国が軍備を増強し競争する 緊張状態
・領土や植民地をめぐる 大国同士の対立
・同盟関係(仲間同士で助け合う約束)が複雑に絡み合っていた
→ 一国が戦争すると 一気に他国も巻き込まれる 状況
つまり いつ爆発してもおかしくない火薬庫に、火花が落ちた瞬間だった というわけです。
● 第二次世界大戦(1939–1945)約6,000万人が犠牲に
第二次世界大戦では、フランスは一時ドイツ軍に占領され、自由を奪われた過酷な時期を経験します。また、第二次世界大戦の犠牲者が6,000万人にのぼった背景には、戦争がヨーロッパだけでなくアジア・太平洋・アフリカにも広がったこと、市民や植民地の人々までも戦争に巻き込まれたことがあります。兵士による戦闘だけではなく、都市への空爆、物資不足による犠牲、ホロコースト(ユダヤ民族絶滅を目的とした虐殺)、植民地からの動員など、“民間人の被害が歴史上最も大きかった戦争” でもありました。
まさに「世界全体が戦場だった時代」だったのです。
✊ La Résistance(レジスタンス運動)とは?
ドイツ軍の占領下でもフランスの人々は諦めませんでした。
「自由なフランスを取り戻すために戦い続けた抵抗運動」それが La Résistance(レジスタンス) です。
その象徴となった人物がこの2人👇
🎙 Charles de Gaulle(シャルル・ド・ゴール)将軍
1940年6月18日、ロンドンからラジオ演説を行い「フランスは降伏しない。戦いはここからだ」 と国民に呼びかけました。
この演説は今でもフランス史の超重要シーンとして語り継がれています。
🕊 Jean Moulin(ジャン・ムーラン)
国内のレジスタンス組織をまとめ、影でフランスの抵抗を支えた英雄。
後に生け捕りとなって命を落としますが、今も国民に敬愛されています。
🌱 戦後のフランスはどう変わった?
戦争が終わると、フランスは「新しい社会づくり」へ動き出しました。
✨ 1944年:女性に参政権が認められる
✨ 1945年:社会保障制度(Sécurité sociale)がスタート
医療・失業・年金などの支援が国民全体へと広がり、フランスはここから「福祉国家」へと進みます。
第二次世界大戦が終わった1945年、二度と世界規模の戦争を繰り返さないために 🌍国連(ONU:Organisation des Nations Unies)が発足しました。しかしその後はアメリカとソ連が対立する La Guerre froide(ラ・ゲール・フロワッド / 冷戦)の時代へ突入し、武器ではなく政治・思想・影響力で世界が二分されていきます。
⚖️ 近代の社会的変化
| 年月日 | 出来事 |
| 1975年1月17日 | Loi Veil(妊娠中絶の合年法化) |
| 1981年10月9日 | Robert Badinter(死刑制度の廃止) |
| 2013年5月17日 | Mariage pour tous(同性婚合法化) |
| 2021年8月24日 | La loi confortant les principes républicains(共和国原則強化法) |
✈️ 小話:ド・ゴールって誰?
先生:「Charles de Gaulle(シャルル・ド・ゴール)は誰でしょう?」
マコマコ:「えーと…パリの空港です!」
会場:大爆笑🤣
してやったり、思わずガッツポーズ✊。
先生「それはさておき、フランスの誇りを取り戻したのは、レジスタンスに立ち上がった市民たちです」
このあと紹介された歴代大統領の一覧がこちら👇
| № | Président(大統領) | 任期(年) |
| 1 | Charles de Gaulle(シャルル・ド・ゴール) | 1959–1969 |
| 2 | Georges Pompidou(ジョルジュ・ポンピドゥー) | 1969–1974 |
| 3 | Valéry Giscard d’Estaing(ヴァレリー・ジスカール・デスタン) | 1974–1981 |
| 4 | ※François Mitterrand(フランソワ・ミッテラン) | 1981–1995 |
| 5 | Jacques Chirac(ジャック・シラク) | 1995–2007 |
| 6 | Nicolas Sarkozy(ニコラ・サルコジ) | 2007–2012 |
| 7 | François Hollande(フランソワ・オランド) | 2012–2017 |
| 8 | Emmanuel Macron(エマニュエル・マクロン) | 2017–現在 |
✅補足:ミッテランは「再選1回(1981–1995)」で計2期。3期連続は不可(憲法で2期までと定められています)。
📅 フランスの祝日を知ろう!Les jours fériés en France
フランスには、宗教的行事や革命記念日、戦没者追悼の日など、歴史と文化が息づく祝日があります。
動画(YouTubeで紹介されたこちら🎥)でも登場した祝日を一覧にまとめました。
| 日付 | 祝日名(フランス語) | 意味・由来 |
| 1月1日 | Jour de l’An | 元日 |
| 復活祭翌月曜 | Lundi de Pâques | イースターの祝日 |
| 5月1日 | Fête du Travail | 労働の日 |
| 5月8日 | Victoire 1945 | 第二次世界大戦終戦記念日 |
| 昇天祭 | Ascension | キリスト昇天を祝う日 |
| 聖霊降臨祭翌月曜 | Lundi de Pentecôte | 聖霊降臨祭の祝日 |
| 7月14日 | Fête nationale | 革命記念日 |
| 8月15日 | Assomption | 聖母被昇天祭 |
| 11月1日 | Toussaint | 諸聖人の日 |
| 11月11日 | Armistice 1918 | 第一次世界大戦休戦記念日 |
| 12月25日 | Noël | クリスマス |
先生曰く、「11月の祝日は、戦争で亡くなった人々への大きな花の捧げものの日。
フランスの祝日は、歴史と信仰の両方を映しています」
まだまだ午前中は終わりません。
🌍 フランスの領土拡大と植民地の時代 ― Le territoire français dans le temps ―
話はまた時代をさかのぼり、次のテーマへ。
午前中の2つ目のトピックは「フランスの領土拡大と植民地の歴史」です。
大航海時代の始まりとともに、フランスも世界へと進出していきます。
🚢 大航海時代とフランスの冒険
1492年のコロンブス航海をきっかけに、ヨーロッパ各国が競うように新大陸へ。
フランスも香辛料(épices)や砂糖(sucre)を求め、航海と交易の時代へと踏み出しました。
講師の先生が冗談まじりに「フランス人はいつも“おいしいもの”を探していたんですよ」と🍷
🗺️ フランス植民地の拡大(17~19世紀)
世界地図を前に、先生が「では、年号クイズです!」と黒板に並べたのがこちら👇
| 年 | 植民地・地域 | 補足説明 |
| 1604年 | Acadie, Nouvelle-France(カナダ) | 北米でのフランス領の始まり |
| 1635年 | マルティニーク&グアドループ | カリブ海での砂糖生産地として発展 |
| 1642年 | マダガスカル | インド洋の要地として進出(後に失敗) |
| 1697年 | サン=ドマング(現ハイチ) | サトウキビと奴隷労働で繁栄、のちにハイチ革命へ |
| 1830年 | アルジェリア | 北アフリカ最大の植民地、後の独立戦争の舞台に |
| 1841年 | マヨット島 | 現在もフランスの海外県として残る |
| 1880年代 | チュニジア、ラオス、カンボジア | 植民地帝国の拡大期 |
| 1912年 | モロッコ保護領成立 | フランスの勢力圏が最大に |
こうして19世紀には「日の沈まない帝国」と呼ばれるほど、アフリカ・アジア・カリブ海に広がる大植民地帝国となりました。
🏝️ 現在も残る「フランス領」
かつての植民地のうち、今もフランス共和国の一部(territoires français)として残っている地域があります。
たとえば、マルティニーク、グアドループ、マヨット、レユニオン、仏領ギアナなどは現在もフランス市民(citoyens français)として暮らしています。
「海外県(Départements et Régions d’Outre-Mer)」と呼ばれる存在です。
⚔️ 独立戦争と脱植民地化
午前中に触れた最後のテーマは、「脱植民地化(décolonisation)」について。
20世紀に入り、フランスはアジアとアフリカの植民地で多くの独立運動に直面します。
| 期間 | 出来事 |
| 1946–1954年 | Guerre d’Indochine(インドシナ戦争)=ベトナム独立戦争 |
| 1954–1962年 | Guerre d’Algérie(アルジェリア戦争)=最も激しい独立戦争 |
| 1960年 | Indépendance des colonies françaises(サハラ以南アフリカ諸国の独立)=“アフリカの年” |
この時期、世界中で民族自決(autodétermination)の波が広がり、フランス帝国は次々と独立を認めざるを得なくなりました。
🕍 Shoah(ショア)=ユダヤ人大虐殺
近代史に入ると、先生が静かに黒板に書いた言葉が印象的でした。
“Shoah” ― ユダヤ人の大量虐殺。
第二次世界大戦中、フランスもこの悲劇の渦中にありました。
この言葉が示す重みを、受講者全員が感じ取っていました。
🧩 小テストで復習タイム!
昼休み直前、先生が笑顔で「さあ、問題です!」と出題。
フランス史の振り返りクイズは、少し難易度高めでした😅
- 革命前のフランスには王政はいくつあった?
- 大統領はこれまで何人?
- 3回大統領になったのは誰?
- なぜ第一次世界大戦は起きたの?
みんなでワイワイ答えるうちに、あっという間にランチタイムに。
午後の講義については次ページで書いていきます。


