Vendanges のつづき 今度は赤ワイン

Mâcon

Bonjour!マコマコです。
Vendangesもいよいよ終盤です。

白ブドウ Chardonnay(シャルドネ)の収穫に目途が立ってきたので、今日は赤ワイン用のブドウを収穫していきます。

なお、今回の記事では、最後にヨーロッパの農業政策についても少し触れています。

この日、収穫する赤ブドウは、Gamay(ガメ)です。
日本の皆さんよくご存知、*ボジョレー・ヌーヴォーになる品種です。

*毎年11月の第3木曜日に解禁される、非常にフレッシュで若々しいワイン。収穫されたその年にすぐに飲むワインで、Gamayの軽快さとフルーティさが際立つ。

このGamayですが、Mâconから南に50kmほど行ったボジョレー地方が特に有名で、この品種からつくられるワインは軽快でフルーティーなものが多く、世界中で人気を集めています。色は、比較的淡いルビー色で、風味は、赤い果実(イチゴ、チェリー、ラズベリーなど)のフルーティーで新鮮な香りが特徴です。時にはバナナやキャンディのような甘い香りも感じられることがあります。口当たりは、軽くて柔らかいタンニンが特徴。酸味がしっかりしていることが多いため、爽やかな飲み口になります。


今回、お世話になっている Domaine Jean Manciat では、90%以上が白ブドウ のChardonnay(シャルドネ)、残りが赤ブドウのGamay(ガメ)を生産しています。
Bourgogne地方全体を見ても約50%がChardonnay、約40%があの1本・100万円は下らない有名なRomanée-conti(ロマネ・コンティ)を仕込むためのPinot Noir(ピノ・ノワール)となるので、Gamay(ガメ)の生産量が低いことが分かります。


縦100m×横10mほどの小さな畑なので、有志のみで収穫しました。


Gamayの畑。赤ブドウなので、Chardonnayと違って見分けがつきやすく収穫しやすいです。ペアは組まずに1列を一人が担当します。

収穫後は、選別作業です。
この日は土曜日ということで、若い助っ人がチームにジョイン!

醸造には向かない、若いブドウの実や葉を取り除いていきます。


機械化か、手摘みか、
この機械を見てください。
Gamayの収穫が終わり戻ると、New Hollandのブドウ収穫機が稼働していました。

この機械を操縦している方は、この地域のブドウ農家から委託を受けてブドウを収穫しているそうです。Big BossのJeanは、昔よりも機械の性能が良くなったので、ブドウの収穫が追い付かない時には、こうした機械に頼ることもあるという。

昔からの伝統を重んじ、手摘みにこだわる。それは、
・機械による収穫時の振動は、祖先が大切に育ててきた木へのダメージが重いこと
・機械だとすべてのブドウが収穫できないこと
・手摘みと比べて、収穫時の糖度が違うこと(機械での収穫時、ブドウの木全体に付着する水分も一緒に吸い込んでしまうため、糖度が落ちる)

確かに手摘みによるVendangesは、足腰への肉体的負担、人件費も掛かり大変ではあるが、続けていきたい。

Jeanに聞いてみました。
「今回、Vendangesさせてもらい、Burgundyのワイン畑の風景はとても美しい。
でも、この景観は農家がいるから守られている。例えば、隣国のスイスでは農家を守るために補助金が充てられているが、Burgundyではどうか?」

「うちではPACK(補助金)は使わない、依存したくないから」


この素晴らしい景観を無くさないために


山に登って撮影したブドウ畑

農家それぞれに考え方はありますが、せっかくなので、今回の記事では、ヨーロッパの農業政策について触れます。

フランスでは、「PACK」という言葉が使われます。これは、「Plan d’Action pour la Compétitivité et l’Environnement (競争力と環境のための行動計画)」の略称として使われ、農業の競争力を強化し、環境への配慮を組み合わせた政策です。
具体的には、農業生産者が持続可能な農業を実現しながらも、経済的に利益を得られるように支援するための措置が含まれています。

通常、ヨーロッパの農業政策は多くが「CAP(Common Agricultural Policy)=共通農業政策」を指しています。CAPは、欧州連合(EU)の農業政策で、農家の支援や農業の発展、環境保護を目的とした政策パッケージです。1962年に導入され、以来何度か改革されてきました。CAPは、フランスの農業における最も重要な政策フレームワークの一つです。

CAPの主な目的

  • 農家の収入を安定させる・・・農業の不安定さや市場価格の変動に対応するため、農家に直接補助金を提供。これはすごい!
  • 食料の安定供給・・・EU全体で安定した食料供給を確保するために、農業の持続可能な発展を支援。2回の世界大戦後、ヨーロッパでは飢餓が深刻だったため。
  • 環境保護・・・農業が環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能な農法を促進。近年では、気候変動への対応や生物多様性の保護が重要なテーマとなっている。
  • 農村の発展・・・農村地域の経済的発展と生活の質を向上させるための支援。

そして、CAPは大きく分けて2つの柱から構成されています。

  • 第1の柱: 直接支払い(補助金)
    • 農家に対する直接支払いの形で補助金が提供される。これは、土地の面積や農業活動に基づいて支払われ、農家の収入を安定させることを目的としている。
  • 第2の柱: 農村開発
    • 農村の経済的発展や環境保護に関する長期的なプロジェクトを支援する資金が提供される。これには、持続可能な農業の促進や、農村の経済基盤の強化が含まれれる。

フランスにおけるCAPの重要性

フランスの農業政策は、EU共通農業政策 CAPの影響を強く受けていますが、国内レベルでは独自の取り組みも行われています。特に環境問題が重視されていて、気候変動への対応や農薬使用の削減、土壌保全などが重要なテーマです。

  • フランスの農業支援・・・フランスはCAPを活用して、国内の農業者に対する補助金を提供し、農業の競争力を維持している。
  • 環境保護と持続可能性・・・フランスは環境保護を重視しており、CAPの中でも特にエコスキームなどの持続可能な農法の普及に力を入れている。
  • 若手農業者への支援・・・フランスでは、若い農業者が農業を始めるための支援も行われていて、これもCAPの資金の一部を利用している。

以上が、ざっくりとしたCAPについてのあらましです。
「直接支払い(補助金)を受けている農家もあるが、そうではなく一つの農家がしっかりと独立して農業経営をしていくことが大切だ」と、Jeanは言っていました。

「なんで、Packなんか知っているんだ?」と驚いた様子でした。
時間が出来たときに、また詳しくインタビューしてみたいと思います。

今回の記事では、Bourgogne地方の一つのDomaineから、ヨーロッパの農業政策にも触れました。

うまくいけば、Vendangesは、あと3日で終わるそうです。
最後まで、張り切っていきたいと思います!

À bientôt✋