Bonjour!マコマコです。
昨年の9月、ブルゴーニュで初めてブドウの収穫(vendanges)に参加させてもらってから、早10か月。あの時に手摘みしたブドウが、ついにワインとなり、ボトルに詰められる瞬間に立ち会いました🍷✨
👉関連記事 ブルゴーニュで初めてのブドウ収穫体験
春―夏シーズンの作業は先週でひと段落したのですが、7月9日と10日の2日間、今働いている Domaine Manciat で、特別なボトリング作業に参加させてもらいました。
「収穫 → 醸造 → 熟成 → ボトリング」という、ワインづくりの流れが点から線になったような、感慨深い体験となりました。
🍇 収穫からボトリングまでの道のり
あらためて振り返ると、昨年のvendanges(ヴァンダンジュ)は私にとってフランスで初めてのブドウ収穫体験。畑で、手作業でひと房ひと房収穫したブドウは、その後、丁寧に醸造・熟成されていきました。
そしてついに、「ワインになる瞬間」=ボトリング(瓶詰め)の日を迎えたのです。
フランス語で、ワインのボトリングは La mise en bouteille du vin(ラ・ミズ・アン・ブゥトゥイユ・ドゥ・ヴァン)と言います。
🍷 今回ボトリングしたワインたち
2日間かけて瓶詰めされたのは、次の3種類の白ワイン:
- Mâcon
- Mâcon-Charnay
- Mâcon-Charnay “Franclieu”
- Mâcon-Charnayのマグナムボトル(1.5L)48本

すべて、ステンレスタンクで醸造された白ワインです。さらに特別枠として…
- 赤ワイン(黒ブドウGamay使用)約500本

合計で約30,000本がボトリングされました!
- 1日目:17,856本
- 2日目:11,400本
数字だけ見てもすごいですが、現場は本当に圧巻でした。
樽熟成させているワインは8月中旬頃にボトリングするそうです。
🏭 ステンレスタンクでの醸造って?
ワインの醸造には、木樽(バリック)を使う方法もありますが、ボトリングした今回の3種の白ワインはステンレスタンク(cuve inox)で醸造されました。

❄️ ステンレスタンクのメリット
- 温度管理が正確にできるため、発酵に最適な環境を保てる
- 清潔で衛生的なので、安定した品質のワインが造れる
- ブドウの個性をそのまま表現できる(香りが加わらない)
オーク樽で熟成させたワインは、木の香りやバニラのような風味が加わり複雑な印象になりますが、ステンレスタンクで造られたワインは、よりピュアでフレッシュな味わいが楽しめます。
👉フルーティーな白ワインや、爽やかさを大切にしたいワインにはぴったりなんです。
🍷 ワインのボトル、マグナム、そして樽はどれくらい?
ワインの世界では、瓶や樽の容量にも昔からの決まった目安があります。ちょっとした豆知識ですが、知っているとボトリングの現場もより楽しく見えてきます♪
🍾 通常のワインボトル(bouteille)
- 容量:750ml
- 普通に「1本のワイン」と言うと、これを指します。
- この750mlというサイズ、実は昔のヨーロッパのガラス職人が一度に吹ける量の限界がこのくらいだったという説があります。

🍾 マグナムボトル(magnum)
- 容量:1.5L(=750ml×2)
- 通常ボトル2本分の大きさ。
- 熟成がゆっくり進むので、長期保存向きで特別感のあるサイズです。

🛢️ 樽(barrique バリック)
- 容量:約225L(=750ml×300本分)
- 主にボルドーやブルゴーニュで使われる標準的なワイン樽のサイズ。
- 昔は出荷単位も「1樽=300本」が基準だったため、ボトルの容量もそれに合わせて「ちょうど300本で1バリック」になるように整ったという説があります。

🤖 移動式のボトリング工場がやって来た!

Domaineにはボトリング設備がないため、今回はボトリング専門業者さんに依頼。
5年来のお付き合いというチームが、機械を搭載した大型トラックごとやってきて、移動式のワイナリーのようでした!
👨🔧 登場人物紹介
Antoineさん: 現場監督。オーストラリア&ニュージーランドでワーホリ経験あり!英語でいろいろ教えてくれました。

Philippeさん: 日本好きな陽気なムッシュ。「また明日来るの?」と聞かれ、「来るよ!」と答えたら…翌日、なんと2006年ドイツW杯・日本代表のユニフォームを着てきてくれました!試合を現地観戦したそう⚽

ふたりの明るくてやさしい雰囲気に、作業のきつさも少し和らぎました。
続いては、ボトリングの作業です。まずはこちらの動画をご覧ください。
🔄 ボトリングの流れってこうなってる!
私の役割は、空瓶を次々に機械にセットしていく作業。単純そうに見えますが、これが予想以上に体力勝負!

空瓶をタイミング良く置いていかないと機械が止まってしまいます。両手で4本の空瓶を持ちベルトコンベアに並べていくのですが段々と握力がなくなり、またパレットも低くなっていくので忍耐力がつきます。
1面に194本の空瓶が積まれ、それが6面の1パレットになっています。
1面、194本のボトリングは大体5分ほどで終わります。はじめはこんなにあった空瓶も・・・

終わる頃にはすっかりなくなっていました。

ボトリングの流れ

- 空瓶セット: リズムよくベルトコンベアに並べる(←私の担当)
- ワイン充填: 正確に750mlが注がれる
- コルク詰め: 自動でギュッと密封

コルクは上から補充されます。ワインごとにコルクが決まっています。
📦 完成したワインは、500本が一つの大きなカートに入れられ、Domaineの倉庫で静かに出荷の時を待ちます。
アルミキャップ密着させるキャップ装着と、表と裏のラベルを貼り付けるラベル貼りは出荷直前に行われるので、今回はなしです。
貯蔵用の倉庫の中もガランとしていたのが、

どんどんとと増えて・・・

2日目が終わるころには、すっかり満杯です。

Philippeさんは、瓶詰めされたボトルを回収しカートに入れる担当で、

Antoineさんは、すべてのポジションのフォロー役です。

作業が進むにつれて、どんどんとステンレスタンクのワインがなくなっていきます。

1つのタンクは「54HL」。HLはヘクトリットル(hectolitre)の略で、1HL = 100リットルを意味します。
54HL = 5,400リットル
これは750mlのワインボトルで約7,200本分になります(5,400L ÷ 0.75L = 7,200本)。
ワイナリーではHL(ヘクトリットル)が醸造や貯蔵タンクの容量を示す標準的な単位として使われています。フランスやヨーロッパのワインづくりで非常によく目にする表記です。
いよいよ、そのときが!
これ遊んでいるわけではなく貴重なワインをこぼさないようにしっかりとホースの中のブドウジュースを回収していきます。

🫨 失敗しても大丈夫…?現場のあたたかさ
実はボトリング作業の初日、慣れない作業で、私はなんと2本の瓶を割ってしまいました…!
ガシャーンという音に一瞬ヒヤリとしましたが、
「去年の人は10本割ったから大丈夫!」
と、AntoineさんとPhilippeさんのやさしいフォロー。思わず笑ってしまいました😅

2日間のボトリング作業も無事に終了。
手には働き者の勲章?が刻まれていました。右はPhilippeさんの手。年期が違います。

この後、二人はまた違うDomaineのボトリング作業をするそう。
この仕事をしていて良いところは、色々なDomaineが見れて、ワインが試飲できること!と誇らしげに言っていました。
糖分を含むワイン。しっかりと洗浄します。

作業に使った機械を丁寧にトラックへ運んでいきます。

ブドウがワインになる瞬間に立ち会って
収穫に参加し、畑で汗を流して手にしたブドウが、醸造・熟成を経て、こうして一本のワインとなって形になる。ブルゴーニュのDomaineで働く私にとって、点と点が線になる瞬間は、言葉にできない大きな喜びです。

そして、できたてのワインをみんなで味わい評価TIME。最後にはボトリングしたワインをプレゼントしてくださいました。まだ、アルミラベルも2024のラベルもないので、2023ヴィンテージのラベルを2024に手描きで変更!オンリー・スリー(Antoineさん、Philippeさん、マコマコ)のプレゼントです。
ワインがどのように生まれるのか、その現場を知るたびに、一本一本への愛着や、作り手たちへの敬意が深まります。
このワインを飲む人々の楽しい顔を思い浮かべながら…!いよいよ季節は夏本番です。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。
また次回もお楽しみに♪
À bientôt✋
📝マコマコ