Bonjour!マコマコです。
4月28日(月)ここMâconは、すっかり春の気配です。

ブルゴーニュにおける高密植(haute densité)という伝統的な栽培方法に基づき、1メートル間隔以下で樹を植えることも珍しくありません。規定によって最低植栽密度が定められているそうです。ぶどう1本あたりの収穫量を抑え、品質の高い果実を得るためとされています。また、手作業での管理を前提としているため、機械化には不向きですが、その分丁寧な栽培が行われています。
約1か月のお休みを経て、いよいよブドウ畑での新シーズンがスタート。
久々の作業は「Bourgeon・ブルジョン(芽かき)」です🌱
芽かきって何?なぜするの?

「芽かき(Bourgeon)」とは、ぶどうの樹にたくさん出てくる不要な芽を手作業で取り除く作業のことです。
芽かきをすることで、
・樹のエネルギーが必要な枝や実に集中し、ぶどうの品質が向上✨
・風通しや日当たりも良くなるため、病気の予防になる✨
ぶどう作りの「下準備」ともいえる、大切なステップです。

赤丸:来年に残したい枝を2つ残します。


一つひとつ樹に個性があって興味深いです。こちらは芽かきする前の樹。

こちらが芽かきした後の樹・・・何だかスッキリしました。

🌹畑に咲くバラの秘密とは?
ブドウ畑で作業をしていると、列の端々に等間隔でバラが植えられています。
これは、ただの景観づくりじゃないんです!

実は、このバラ、うどんこ病(フランス語で “l’oïdium”)の早期発見のために植えられているんです。
うどんこ病(L’oïdium)とは?
・白い粉をまぶしたようなカビが葉や果実に付着する真菌病
・乾燥・高温条件で発生しやすく、品質に大きな悪影響
・防除が遅れると、ブドウが裂果・落果することも
🌹なぜバラ?
バラはブドウよりもうどんこ病に敏感に反応するため、最初の兆候をいち早く教えてくれる“天然のセンサー”なんです。「畑の見張り番」とも呼ばれているそうです。
気になる葉っぱを発見…これって病気?
作業中、いぼのような膨らみができた葉を発見。表面には赤褐色の小さな突起、裏側にはふわっと白い毛のようなものが…。

これは「ブドウ葉ダニ(Eriophyes vitis)」による典型的な症状のようです。
🍃特徴は、
・表面にいぼ状の膨らみが見られる
・裏面に綿毛のようなダニのコロニーに
・光合成が阻害され、生育や収量に影響が…
🛡対策は…
・春の早い段階での観察と早期発見がカギ
・冬の剪定で前年の被害枝をカットするのがポイント
・必要に応じて薬剤の散布
・天敵(カブリダニ類など)の利用も選択肢の一つ
こちらの Domaineでは、有機栽培認証の取得を目指しているので、散布できる薬剤は限られます。
Mâconのようなブドウ栽培に適した土地でも、病害虫との共存と対策は日々の課題です。葉ダニに感染した葉は少ないので、この量なら対策しなくても大丈夫!と農場主は言っていました。
🍇樹形にも地域色が!フランスのブドウ仕立て方の違い
畑で作業していると、ぶどうの仕立て方(樹形のスタイル)にもバリエーションがあることに気づきます。地域やブドウ品種、畑の条件によって選ばれるスタイルは異なり、それぞれに深い意味と歴史があります。

「ギョイヨ式」
ギョイヨ式(Guyot)は、19世紀のフランス人植物学者Dr. Jules Guyot(ジュール・ギョイヨ博士)が考案した剪定・仕立て方法です。
ギョイヨ博士は、ワイン用ブドウの栽培効率と品質向上を目指し、枝の数を制限して栄養を集中させる方法を提案しました。これが「ギョイヨ仕立て」として広まりました。

🍷ブルゴーニュ(特にMâcon)では…
✅ Guyot simple(ギョイヨ・シンプル)が主流!
・幹から1本の結果母枝(長梢)と、翌年用の予備枝(短梢)を残すスタイル
・作業性が良く、日照・風通しの確保がしやすいため、高品質なブドウ栽培に適している
・ピノ・ノワールやシャルドネといった樹勢が中程度以下の品種に向いている
✅ Guyot double(ギョイヨ・ドゥーブル)も一部見られます
・幹から左右2本の結果母枝を残すスタイル
・収量をやや多めに確保でき、斜面の広い畑や樹勢の弱い品種に用いられることがある
他にも見られる仕立て方として、幹を低くして水平に伸ばした腕(主枝)に短い結果枝を整然と配置する Cordon de Royat(コルドン・ド・ロワイヤ)もあります。
主に機械収穫や機械剪定を前提とした近代的な栽培法に多く、南仏やあのシャンパーニュなどでも使用されますが、Mâconでも一部で採用されています
フランスの銘醸地🍇ボルドー地方では?
Guyot double(ドゥーブル・ギョイヨ)が標準的です。
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローのように樹勢が強くて旺盛な品種に向いていて、品質と収量のバランスを重視した仕立てがされています
🌍地域で変わる“ブドウの姿
こうした仕立て方の違いには、それぞれの地域の気候条件(降雨量・気温)や品種の性質、さらには労働力・機械化の程度が影響しています。ブルゴーニュでは1本1本を丁寧に手作業で育て、凝縮感あるブドウを育てるために、ギョイヨ・シンプルの仕立て方が好まれてきたようです。
このように、ブドウの“立ち姿”に地域の個性が表れているのも、ワインの奥深さを感じられるポイントです🍷

畑ではトラクターが大活躍!
芽かきをしている間、Domaineの農場主たちがトラクターで「Plough・プラウ(耕起作業)」をしていきます。ブドウの成長と共に作業が増え、天気を見ながら段取りを間違えると、どんどんと作業が後手に回っていきます。

プラウ作業には、
・雑草の抑制
・土壌を柔らかくして根の深い土着を助ける
・雨水の浸透を良くする
といった目的があります。ブドウの健やかな生育には、土の管理も欠かせないのです。


春の畑で「目」と「芽」を養う時間
芽かき作業は、単調なようでいて、自然との対話の時間でもあります。
芽かきをしていると、いろんな小さな命に出会います。

🐞 テントウムシ(見つけるとちょっと嬉しい)
🐌 カタツムリ(ブドウの樹や葉っぱの上でのんびり)
🐝 なんと蜂の巣まで発見(さすがにこれは避けました…)
自然とともに働く、この季節ならではの出会いに、毎日心が和みます。
目に見える芽だけでなく、土の変化や風の動き、小さな生き物たちの気配にも心を向けていく…そんな感覚が芽生えてきた気がします。
ぶどう栽培の新シーズン、楽しみながら、丁寧に向き合っていきたいと思います。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。また次回もお楽しみに♪
À bientôt✋
📝 マコマコ