13時、午後になりました。最初に出席の署名をします。
署名のために前に行くと、先生がにこやかに「私、日本の餅が好きなのよ」と話しかけてくださいました。
ちょっと緊張していたので、一気に和みました。優しい先生で良かったです。
👨👩👧 親の責任と教育のしくみ
午後からのテーマは「Principes et valeurs de la République(共和国の原則と価値)」……のはずが、午前中に終わらなかった“親の責任”についての話からスタート。
フランス語では「L’exercice de l’autorité parentale(親権の行使)」といいます。
ここでは、フランスで親になる際に義務とされていることについて学びました。
印象的だったのは、フランス社会では“父親・母親どちらかだけが権限を持つ”という考え方はなく、両親が平等な立場で子どもに責任を持つということが明確に法律で定められている点です。
🧒 フランスで親に求められる義務と責任
- 両親それぞれに責任と義務がある(父親だけが決定権を持つという考え方はない)
- 子どもの基本的権利の尊重
- 成人までの保護
- 教育を受けさせる義務(フランスでは3歳から義務教育が始まります)
- 子どもの財産・遺産管理
- そして、なんと「子どもがきちんとフランス語を話せるよう努力すること」も明記されているんです!
この「フランス語を話せるように努力する」という部分は、さすが共和国の価値観を反映しているなぁと。言語の統一=社会への参加の第一歩という考えがしっかり根づいているのを感じます。
🏡 午後:フランス共和国の「Principes et valeurs(原則と価値)」とは?
30分遅れで、午後の講義テーマ「フランスという国の成り立ちと理念について」がスタート!
「共和国とは?」を総復習するような内容で、深いテーマでした。
まずは民主主義とは何か?から始まりました。
「人が政治に介入するこだよ」という導入から、フランス国旗の話へ。
登場したのは、もちろんお馴染みの Le drapeau tricolore(トリコロール)。
青・白・赤の三色 にはそれぞれ意味があります。
- 青(Bleu)=自由(Liberté)
- 白(Blanc)=王政(Monarchie)
- 赤(Rouge)=革命(Révolution)
フランスの歴史そのものが旗の中に凝縮されています。

🐓 フランスの象徴たち:鶏とマリアンヌ
続いてはフランスのシンボルたち。
まず1つ目は、あの誇り高き雄鶏「le coq(ル・コック)」。
昔から「フランス人の戦う精神と誇り」を象徴しているそうで、サッカー代表チームのユニフォームにも描かれています⚽️

そしてもう一人(?)の象徴が Marianne(マリアンヌ)。
自由と共和国の精神を象徴する女性像で、役所や郵便局など、至るところに彼女の横顔が登場します。「Liberté(自由)」の女神として、フランスのアイデンティティを支える存在です。
フランス革命時、君主制に対抗し自由や共和制を求める人々を導く「自由の女神」として知られています。また、Marianneという名前は、当時の一般的だった女性の名前「Marie(マリー)」と「Anne(アンヌ)」を組み合わせたものとされ、国民や庶民を象徴しています。
Marianneは、フリジア帽と呼ばれる赤い三角帽をかぶっています。この帽子は、古代ローマ時代に自由の身となった奴隷がかぶっていたもので、「自由の象徴」とされていたからです。
🎶 フランス国歌とフランス革命
Allons enfants de la Patrie, Le jour de gloire est arrivé ~♬
行こう 祖国の子らよ 栄光の日が来た!
国歌「La Marseillaise(ラ・マルセイエーズ)」の紹介もありました。
講師の先生が「実は、フランス北東部 Strasbourg(ストラスブール)で作られたんですよ」と教えてくれました。
フランス革命の時代(1792年) に作られた歌です。
正式タイトルは 「Chant de guerre pour l’armée du Rhin(ライン軍のための戦いの歌)」で、📍作曲者は Claude Joseph Rouget de Lisle(クロード・ジョゼフ・ルージェ・ド・リール)。
当時、フランスは革命後の混乱の中で、オーストリアやプロイセン(現在のドイツ地域)と戦争状態にありました。この歌は「祖国を守るために立ち上がれ!」という革命的な愛国歌として生まれ、
後に南仏マルセイユの義勇兵たちがパリへ行進する際に歌ったため、
「La Marseillaise(ラ・マルセイエーズ)」という名前になったそうです。
🎉「La Fête nationale(ラ・フェット・ナショナル)」=7月14日の意味
そして、7月14日(le 14 juillet) の紹介も。
フランスの「建国記念日」「革命記念日」とされますが、実は2つの歴史的出来事を記念しています。
1️⃣ 1789年7月14日:バスティーユ牢獄の襲撃
→ フランス革命の始まりを象徴する事件。民衆が王政に立ち上がった日です。
2️⃣ 1790年7月14日:Fête de la Fédération(連盟祭)
→ 革命1周年を祝う「国民の和解と団結」の祭典。
この日には国王ルイ16世も参加し、民衆と誓いを立てた「平和の象徴」の日でもありました。
「革命の始まり」+「国民の統一」という二重の意味がある 7月14日の祝日です。
⚖️ 共和国の三原則:Liberté, Égalité, Fraternité
最後は、フランス共和国を象徴する3つの言葉。
● Liberté(リベルテ・自由)
● Égalité(エガリテ・平等)
● Fraternité(フラテルニテ・博愛)
この三原則は、どんな公共施設にも掲げられています。
自由と平等はもちろんですが、「Fraternité=兄弟愛・仲間意識」という言葉が最後に来るのがフランスらしいと感じました。人と人のつながりを大切にする、温かさのある理念です。
Égalité(平等)の部分、フランスでは人々は平等とされる一方で、25種類の差別が存在することも学びました。
📱 Kahootで理解度チェック!
ここで、なんと「みんなスマホを出して!」と突然の出番が📲
(あれ?禁止じゃないの?)
講師から「スマホに Kahoot(カフート)というアプリを入れて」との指示がありました。
Kahoot公式サイトはこちら

なんと、アカウントを作って指定の番号(PINコード)を入力すると、
4択クイズ形式で今日学んだ内容を復習できるという仕組み!
全20問が出題され、回答は即時集計。
スクリーンには、誰がどんな答えを選んだかリアルタイムで表示されます。
問題の内容は次のページで紹介します。
一気に教室がゲーム大会のような盛り上がりに😂
講師も「これは学びながら楽しむ時間です!」と声をかけてくれましたが、、、恥ずかしながら マコマコ 最下位でした。
高得点の TOP 3 が発表され、表彰 パチパチ~👏

この後、今日の Formation Civique に参加したという証明が配られました。
これは絶対にビザ更新に必要なやつだ!

🕊️ Laïcité(政教分離)の歴史をたどる
証明書ももらい、今日は終わりかと思ったら、講師が「あっ、そうだ!」と。
なんと ダメ押しの、Laïcité(ライシテ)について、フランス史を通して学びました。
Laïcité は、フランス共和国の根幹をなす憲法的原則です。これは「国家と宗教の分離」を徹底し、公共空間における宗教的中立性を確立する理念です。
📌 Laïcité の核心的な原則
主に次の2点を両立させます。
国家の宗教的中立性
・国家はいかなる宗教も公認・支援せず、すべての信仰に対し中立的な立場を取ります。
・公務員など公的権限を持つ者は、職務において特定の宗教的信念を示すことは許されません。
信教の自由の保証
すべての市民の信仰の自由、あるいは無宗教である自由が完全に保障されます。
🏫 公共の場での適用例
Laïcité は、特に公立学校で厳格に適用されます。
公立学校は、子どもたちを宗教的な圧力から守り、共通の共和主義的価値観を学ぶ場とするため、敷地内での目立つ宗教的シンボルの着用を制限しています。
つまり Laïcité は、信仰を私的な領域に留めることで、多様な背景を持つ人々が分断されることなく、市民として平等に共存するための枠組みを提供しています。
Laïcité が出来た歴史的背景をまとめていきます。
| 🗓️ 年 | 🇫🇷 出来事(フランス語) | 🇯🇵 解説(日本語) |
|---|---|---|
| 1572 | Massacre de la Saint-Barthélemy | サン・バルテルミの虐殺。カトリックとプロテスタント(ユグノー)間の宗教戦争が激化した悲劇的事件。 |
| 1598 | Édit de Nantes | ナントの勅令。アンリ4世により宗教的寛容を保障。フランスで初めて信仰の自由が認められた瞬間。 |
| 1685 | Révocation de l’édit de Nantes (Édit de Fontainebleau) | ナントの勅令の廃止(フォンテーヌブローの勅令)。再びプロテスタント信仰が禁止され、宗教の自由が失われる。 |
| 1789 | Déclaration des droits de l’Homme et du citoyen | フランス人権宣言の公布。「自由・平等・博愛」の理念が国家の礎となる。 |
| 1790 | Constitution civile du clergé | 聖職者民事基本法。教会を国家の管理下に置き、宗教と政治の関係が大きく変化。 |
| 1793 | Première abolition de l’esclavage | 奴隷制の第一次廃止。革命政府が全植民地での奴隷制撤廃を宣言。 |
| 1794 | Proclamation de la République et des droits civiques | 共和国の確立と市民の権利の拡大。自由と平等の理念がより広く適用されるように。 |
| 1801 | Concordat entre Napoléon et le pape Pie VII | ナポレオンとローマ教皇ピウス7世による宗教協約。国家と教会の関係を再調整。 |
| 1882 | Loi Jules Ferry | 公教育の非宗教化。義務・無償・非宗教の3原則に基づく近代教育制度が誕生。 |
| 1905 | Loi de Séparation des Églises et de l’État | 教会と国家の分離法。信教の自由と国家の中立性を保障する“Laïcité”の原点。 |
| 2004 | Loi sur les signes religieux dans les écoles publiques | 公立学校での宗教的象徴(スカーフ、十字架など)の着用を禁止する法律。公共の場での中立性を徹底。 |
| 2021 | Loi confortant les principes républicains | 共和国原則強化法。信教の自由を守りつつ、社会的統合と公共の秩序を重視。 |
最後は、この年号と歴史的出来事をマッチさせるゲーム。
カードの内容は伏して渡され、マッチするカードを持っている人を探すというゲームです。

マコマコは、教会と国家の分離を引いたので、1905年のカードを持っている人を探します。
🚆 帰路へ…そして どっと疲労感が
予定よりも30分早い16時に終了。みんな ぐったり、「また来週ね!」と英語チームや他のチームと笑顔で解散です。
研修会場を出ると、すっかりと太陽が昇り気持ちの良い陽気に。

帰りは予定より早い電車に乗れました。金曜日の夕方とあって、駅や電車混雑。
Mâcon へ向かう電車の中で、ほっと一息 です。

自宅に帰り、ぬおおおお、疲れた。頭、パンパンです。
今日の出来事を妻へ報告。内容の濃さ、フランス語の難しさ、情報量の多さに頭フル回転。
通訳さんがいなかったら崩壊レベルでした, Merci!
「フランス人でも、これ全部知らないよ」と妻が、でも、これこそフランスに暮らす上で避けて通れない学び。
「もっと早く受けたかった!」と思うほど、生活の基本からビザ更新情報まで詰まっていました。
次回も引き続き、Formation Civique 第2回の模様をお届けします。お楽しみに♬
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。
À bientôt✋
📝 マコマコ


