フランスの農業を通じた社会貢献

Mâcon

Bonjour!マコマコです。
9月も中旬となり、ここMâconはかなり寒くなってきました。


ここ1週間の天気予報

最低気温が1桁台の時もあります。
なんせ、ここは北緯が約46度、東京の北緯が約35.7度、札幌が約43度ですから、北海道と同じくらいです。ちなみにパリは、北緯が約49度なのでもっと寒いです。
8月には、35℃を超える暑さだったのにこの変化は身体に応えますな。


Jardins de Cocagneの素敵な取組

今回は、フランスの素敵な取組を紹介します。
我が家では、週に一度、ある団体から有機野菜セットを取っているのですが、1年に一度のOPEN FARM DAY、訪ねてきました。
我が家からは、自転車で2kmの距離。妻の勤務先の真裏にあります。

その団体は、Jardins de Cocagne(ジャルダン・ド・コカーニュ)と言いまして、フランス全土に広がる社会的・環境的なNPO組織です。Jardins(ジャルダン)はフランス語で庭Cogagne(コカーニュ)は、特に「豊かで理想的な土地」や「豊穣の地」を指し、この言葉は、中世ヨーロッパのユートピア的な理想郷を表す言葉として使われ、「食べ物が豊富で誰もが幸せに暮らせる場所」というイメージを持っています。深いですね。

また、歴史的には「コカーニュ」はフランス南部で栽培されていたパステルという植物の染料産業にも関連しています。この植物の栽培によって、その地域が一時期非常に豊かになったことから、富や繁栄を象徴する言葉として使われるようになりました。
持続可能な農業と社会的包摂を通じて、理想的な環境とコミュニティを築くという意味で、Jardins de Cocagneという名前が使われているそうです。

Jardins de Cocagneは、有機農業を行い、その収穫物を地域住民へ提供しています。主に持続可能な農業と社会的統合を目指す上で、農業を通じて困難な状況にある人々に雇用機会やトレーニングを提供しています。移民が多いフランスですから、母語や母国語がフランス語でない方がいます。フランス語のトレーニングを行ったりもしているそうです。活動は、都市周辺にあるそれぞれの農場で行われ、雇用やトレーニングを通じて、失業者や社会的に孤立した人々の再統合を支援します。

つまり、Jardins de Cocagneの活動は、環境保護や食の安全性を重視し、地域コミュニティを支えると同時に、持続可能な農業の普及にも貢献し、特に社会的弱者へのサポートに重点を置いており、農業を通じた社会貢献という面でも注目されています。

私の出身である神奈川県藤沢にも、同様の取組を行っている「えと菜園」があります。


Jardins de Cocagneのロゴ。可愛らしく親しみやすいデザインです。
このロゴには、①自然との共生、②コミュニティと社会的包摂のコンセプトが込められているそうです。


Jardins de CocagneのMâcon農場

Jardins de Cocagnは農家ではなく、NPO組織です。社会貢献を行う団体として、フランス政府から補助金も出ているそうです。


この日、約1時間のFarm Tourに参加しました。規模はおよそ6ha(1haは100㍍x100㍍、6haの畑は、100㍍ x 600㍍の長方形や、200㍍ x 300㍍の長方形に相当)です。
農場を案内してくださった栽培担当のRaphaëlle(ラファエル)さん。普段は学校の先生をしているそう。他にも、多くのボランティアの方で成り立っています。Mâcon農場の理事は地域住民から選ばれているそうです。


サツマイモをかき分け、かき分け。ジャガイモとサツマイモの違いについて解説してくださいました。


AGRICULTURE BIOLOGIQUE(通称:AB アグリカルチュール・ビオロジック)に認証登録しているので、農薬・化学肥料は使いません。代わりにクリップローテンション(輪作)、コンパニオンプランツ(混植)の栽培計画を立てて、生物多様性を生かした農業を展開しているとお話しくださいました。


育苗の説明。すべてを自家採種をするのは難しいので、BIO基準に則ったF1の種も使用しているとのこと。育苗ハウスは、発芽促進の為、電熱で下を温めていました。


Mizunaを育苗中。白い粉みたいなものは砂で乾燥予防とのこと。
ISEKIのトラクター発見。近くの農家はKUBOTAを愛用とのこと。


農場内にはFarm Standがあり、週に数日、開いている日に新鮮な野菜や加工品を購入することができます。また、周辺農家もこのFarm Standに野菜や果物、卵、チーズ、石けんなどの加工品をおけることになっていて、地域住民に開かれ場所として認知されています。


この日は、Mâcon市長(一番左)が視察に来られていました!


OPEN FARM DAYは、Farm Tourや、Farm Standの催しだけでなく、劇や音楽もあり、参加者が楽しめる時間になっていました。


初めてJardins de Cocagneを知る方や、農場に来られた方向けに、会員になるための申込書と週に届く野菜セットのサンプルがありました。量により3タイプ選べて、我が家は真ん中のサイズを選択しています。週に一度、旬の野菜が7アイテムほど入っていて、野菜や量にもよりますが値段は概ね€15です。


Mâcon農場では、火曜日と金曜日に野菜セットを地域住民へ提供しています。
一軒ずつ配達するわけではなく、参加者は20ある野菜セットの受け取り希望場所を選択し、時間内に取りに行くというシステムです。


野菜セットを受け取るスポットの様子。我が家は、毎週、火曜日にスポーツジムで受け取っています。

有機農業が基盤となって、地域住民へ新鮮な野菜を提供するだけでなく、生活が困難な方への雇用機会の創出や、社会復帰をするためのサポートを行うというフランスの取組を知ることができました。

追記です

悪天候により、今年は農業生産があがらず、Jardins de Cocagneの活動状況が難しくなりました。社会的・職業的統合イニシアチブを支援する Fondation VINCI pour la Cité から 10,000ユーロの寄付をいただくようです(関連記事)。

ここまで記事をお読みいただきありがとうございます。
また次回もお楽しみに。

À bientôt✋

📝マコマコ