ブドウのつる切り名人を目指してチョキチョキ!「moûcher」って?

2025年

Bonjour!マコマコです。
春のブドウ畑はますますにぎやかになり、新しい作業が加わりました。

moûcher(ムーシェ)という作業です。地味だけど奥が深い!そんな作業を今回はご紹介します。


moûcher(ムーシェ)」ってなに?

フランス語の“moûcher”は、正式な辞書には載っていない場合もありますが、畑の現場では「ブドウのつるを止めるために摘心する(切る)」という意味で使われる作業用語のようです。

気温が高くなるにつれて、グングンと伸びていくつるたち…。
この作業の目的は、その暴れん坊たちを、決められたラインでピタッと止め、これ以上つるが伸びすぎないようにすることです。なぜなら、枝が上に伸びすぎるとブドウの樹がどんどんと大きくなっていき、風通しや日当たりが悪くなり、病気のリスクも高まるからなんです。

また、作業のしやすさやトラクターが通る際の安全性にも関係してきます。

今回の現場はこちら!
Prissé(プリッセ)という場所で、眺めが良く、気持ちの良い場所です。

(下)冬の風景と比べると季節が進んだなぁ と感じます。


Maconスタイルで切る!その高さに理由あり?

この作業、どこでも好きなところで切っていいわけではありません。
以前、3月14日に書いた こちらの記事 でも少し触れましたが、Mâcon周辺では、ブドウの母枝を2段目のワイヤーの高さで止めるのがスタンダード

(左)剪定のとき
(右)剪定から約2か月後。葉が生い茂っています。アーチ部分以降の枝をmoûcherします。

このスタイルにすることで、枝や葉の量が増え、光合成がたっぷり行われる=収量が上がるという利点があります。ただしその分、果実の品質が下がる可能性もあると言われています。つまりこれは「量を取るか、質を取るか」という、フランスのブドウ栽培の奥深い選択の現れでもあります。


チョキチョキ…!こんな感じ

実際のmoûcherの作業は、とにかく「地道」。
でも、ただ切るだけじゃなくて、どの枝を切るか、どこまで切るか、どう残すかをパパッと判断しながら動く必要があるので、意外と頭も使います。

まずはいち早くブドウの房をみつけ(青の点線)、そこから2つ上の節のところにハサミを入れます(赤の点線)。

手元には剪定バサミ、間違った枝を切ってしまうとそれこそ今までの努力が報われないので、慎重に見極めて作業します。

moûcherの後、少しスッキリしました。


小さな発見、大きな学び

この作業を通じて感じたのは、「一見単純な作業の中にも、経験や判断力が問われる」ということ。剪定ともまた違って、その年の生育の様子を見ながら、”今ここで止める”という判断を下す繊細さが求められます。まさに職人技の世界です。

来年にはもっとスパッと迷いなく切れる「つる切り名人」になっていたいものです…!


品質と収量のバランス、その現場から

こうして実際に作業を体験してみると、ワイン造りは畑仕事の積み重ねだなあと改めて実感します。
“moûcher”は決して華やかな作業ではありませんが、こうした細やかな管理の一つひとつが、その年のワインの個性に繋がっていくんだと思うと、感慨深いです。

ブルゴーニュのワイン畑では、合理性の中にもしっかりと「地域性」や「スタイル」があって、日々学ぶことばかりです!


この時期、ブドウの成長と共に周りの草もどんどん成長します。
放っておくと害虫の温床となってしまうため、定期的に草刈りをします。
ヘルメットに長靴、手袋、専用の服と、暑いですが身を守るため完全防備です。

春シーズンの仕事はじめから約2週間、随分とブドウの樹たちが大きくなりました。

うどんこ病に敏感に反応する天然のセンサー・バラ。花がキレイに咲きはじめした。

(下)4月26日 春シーズンはじめのぶどう畑と比べるとよく分かります。

特別な畑での作業も徐々に入ってきました。どちらも眺めが素敵な畑です。

こちらは Davayé にある畑
こちらは Vergisson にある畑


次はどんな作業を行うのか、楽しみです♪
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。

À bientôt✋

📝マコマコ